企業が外国人を雇用する場合、日本では労働法や入国管理法に基づく手続きが必要です。以下に一般的な手順を整理します。
1. 労働条件・求人内容の確認
- 雇用する外国人が**日本で働く資格(在留資格)**を取得できるかを確認する。
- 外国人が従事できる業務は在留資格によって制限されている(例:「技術・人文知識・国際業務」はオフィス系、「技能」は特定技能や熟練労働)。
2. 在留資格の確認・取得
外国人が日本で働くには、有効な在留資格が必要です。
既に在留資格を持っている場合
- 雇用予定の在留資格で就労が可能か確認する。
- 就労制限の範囲内で働かせる。
新たに在留資格を取得する場合
- 企業が**在留資格認定証明書(COE: Certificate of Eligibility)**を申請する。
- 入国管理局(入国管理庁)に必要書類を提出する。
- 事業内容や雇用契約書
- 外国人の学歴・経歴書類
- 雇用条件通知書
雇用契約の締結
- 労働基準法に基づく契約書を作成。
- 給与、労働時間、休日、社会保険加入などを明記。
入国管理局への手続き
- COE取得後、外国人が日本の在外公館で**就労ビザ(在留資格)**を取得。
- 日本入国後、在留カードが交付される。
5. 社会保険・税務手続き
外国人従業員も日本人と同様に、以下の加入義務があります:
- 健康保険・厚生年金保険(加入対象者の場合)
- 雇用保険(週20時間以上勤務の場合)
- 労働保険・労災保険
- 所得税・住民税の源泉徴収
6. 外国人雇用状況の届出
- 外国人雇用状況の届出(ハローワーク)を、常用労働者が1人でも外国人の場合に提出。
ポイント
- 在留資格に応じて働ける業務が制限されている。
- 雇用前に必要書類を整えて、入国管理局・ハローワークでの手続きを行うこと。
- 雇用契約や社会保険の加入も日本人同様に必要。
職種ごとの在留資格と手続きの具体的な例
日本で外国人を雇用する場合の職種ごとの在留資格と具体的手続き例をわかりやすく整理します。ここでは代表的な職種を中心にまとめます。
1. 技術・人文知識・国際業務
- 対象職種:ITエンジニア、企画・マーケティング、人事、通訳・翻訳など
- 要件:
- 大学卒以上または相当の実務経験
- 専門知識・技術を活かす職種であること
- 手続き例:
- 企業が外国人と雇用契約を締結(給与・勤務時間・仕事内容を明記)
- 入国管理局に**在留資格認定証明書(COE)**を申請
- 必要書類:卒業証明書、職務経歴書、雇用契約書、事業内容の説明資料
- COE取得後、外国人が在外公館で就労ビザを申請
- 日本入国後に在留カード交付
- 健康保険・厚生年金・雇用保険に加入
2. 特定技能
- 対象職種:介護、建設、宿泊、農業など14分野
- 要件:
- 分野別試験に合格(日本語能力と技能)
- 原則、即戦力として就労
- 手続き例:
- 企業が特定技能外国人と雇用契約
- 入国管理局にCOE申請(技能試験合格証など添付)
- 在外公館で特定技能ビザ取得
- 日本入国後、在留カード交付
- 社会保険・税務手続き
3. 技能(技能実習)
- 対象職種:製造、建設、農業など
- 要件:
- 技能実習計画に基づく
- 原則3年以内(一定要件で5年まで)
- 手続き例:
- 監理団体・企業が技能実習計画を作成
- 入国管理局に技能実習計画認定申請
- 外国人が在外公館で技能実習ビザを取得
- 日本入国後、在留カード交付
- 健康保険・労働保険加入
4. 経営・管理(会社役員、管理職)
- 対象職種:会社経営者、事業管理職
- 要件:
- 日本で会社を設立、または一定規模の事業を経営
- 管理職として就労
- 手続き例:
- 会社設立・事業計画作成
- 雇用契約または事業管理契約
- COE申請(会社登記簿、事業計画書、資本金証明など)
- 在外公館で経営・管理ビザ取得
- 日本入国後、在留カード交付
- 社会保険・税務手続き
5. その他の短期就労(例:技能実習以外の研修・インターン)
- 対象職種:研究・研修、短期就労など
- 手続き例:
- 雇用契約または研修契約を作成
- 入国管理局に該当ビザを申請(研修・文化活動など)
- 入国後、在留カード交付
- 必要に応じて社会保険加入
ポイントまとめ
- 在留資格は職種ごとに明確に制限されている
→ 仕事内容と資格が合致していない場合、違法就労になる。 - 雇用契約書と在留資格申請書類の整備が必須
- 社会保険・税務手続きは日本人同様に必要
- 特定技能や技能実習は監理団体・試験が関わるため手続きが複雑

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