今回は、行政書士(行政書士有資格者・行政書士登録者)が「できる」許認可申請業務を、分かりやすく体系的に解説します。
(※行政書士“有資格者”は、登録して行政書士として開業しなければ他者の依頼を受けた業務は行えず、あくまで“行政書士=登録者”が業として実施できます。)
行政書士法に基づき、行政書士は 官公署に提出する書類の作成・提出代理 を業とすることができます。
その中でも、特に「許可・認可・届出」などの行政手続きを代理し、申請書類一式を整えることが大きな役割です。
行政機関は多岐にわたるため、行政書士が扱える許認可も非常に幅広く、以下のような分野があります。
🗂 主な許認可申請業務(代表例)
■ 建設業分野
建設業界は許認可が多く、行政書士が最も多く扱う領域の一つです。
- 建設業許可申請(新規・更新・業種追加)
- 経営事項審査(経審)
- 入札参加資格申請(指名願)
- 変更届の作成・提出
■ 産業廃棄物分野
環境系許可は専門性が高く、行政書士がフルサポートすることが多い領域。
- 産業廃棄物収集運搬業許可(積替・保管含む)
- 産廃処分業許可
- 特管産廃の収集運搬許可
- 変更届・更新申請
■ 会社・法人関連
法人設立の手続きも行政書士の定番業務。
- 株式会社・合同会社の設立手続(定款作成・認証等)
- NPO法人設立認証
- 医療法人・社会福祉法人・学校法人などの設立認可
- 事業目的変更などの届出書類作成
(※登記は司法書士の独占業務なので、行政書士はできません。)
■ 交通・運輸関連
- 貨物自動車運送事業許可
- 旅客自動車運送事業(バス・タクシー)
- 道路使用許可
- 車庫証明(代理取得)
■ 飲食・サービス業の許可
- 飲食店営業許可
- 風俗営業許可(キャバクラ・バー等)
- 深夜酒類提供飲食店営業届
- 旅館業許可
- 住宅宿泊事業(民泊)届出
■ 外国人関連
- 在留資格(ビザ)申請取次
(申請取次資格を取得した行政書士に限る) - 在留資格変更・更新
- 永住許可申請
■ 農地・土地開発
- 農地転用許可(3条・4条・5条)
- 開発許可
- 都市計画法関連の届出
- 宅地建物取引業免許申請(宅建業)
■ その他の行政手続き
行政書士が扱える許認可は数百種類以上。
- 酒類販売業免許(税務署)
- 医薬品販売業許可
- 古物商許可
- 電気通信事業届出
- 労働者派遣事業許可
- 社会保険労務士法人・弁護士法人等の設立書類作成
(※許認可申請そのものは行政書士が行えないケースもある)
✔ 行政書士が できる/できない 業務の区分
| 業務内容 | 行政書士ができる? | 根拠・補足 |
|---|---|---|
| 行政機関に提出する書類の作成 | ◎ | 行政書士の中心業務 |
| 許認可申請の代理、手続の代行 | ◎ | 行政書士法 1条の3 |
| 権利義務・事実証明に関する書類の作成 | ◎ | 契約書・議事録など |
| 登記手続(法人設立登記など) | ✕(司法書士) | 業際問題注意 |
| 裁判所提出書類の作成 | ✕(司法書士・弁護士) | 行政書士不可 |
| 税務申告 | ✕(税理士) | 税務書類の作成は不可 |
| 労働保険・社会保険の手続 | ✕(社労士) | ただし企業の調査等は可能 |
✔ 行政書士が許認可申請で価値を発揮するポイント
- 要件確認や事前調査が非常に複雑なため、専門家が必要
- 行政庁との 事前協議・相談 を代行できる
- 業界の事例に基づく書類整備や証拠書類の整理が得意
- 開業や事業開始に必須の許認可を「最短で通す」サポートができる
❗ 注意すべき点
「行政書士“有資格者”」と「行政書士登録者」は異なる
- 合格しただけの“行政書士有資格者”(未登録・未開業)は行政書士業務を行うことができません。
- 解説をしても法律上の問題にはなりませんが、
個別具体的な許認可申請の相談(実務に踏み込む内容)は「非行政書士業務」とみなされる可能性があります。
実務的な助言・代理は「登録済み行政書士」でなければ不可
- 書類作成
- 行政機関との交渉・代理
- 具体的案件の相談
は行政書士登録者のみが可能です。
一般的な情報解説は問題なし
未登録の有資格者でも、
- 法制度の一般説明
- 許認可制度の概要紹介
- 法律のポイント解説
などは「一般的な情報提供」に該当するため違法ではありません。
| 行為 | 有資格者(未登録) | 登録行政書士 |
|---|---|---|
| 一般的な許認可制度の解説 | ○ | ○ |
| 特定案件の相談・助言 | ✕ | ○ |
| 許認可書類の作成 | ✕ | ○ |
| 行政への提出代理 | ✕ | ○ |
✔ まとめ
行政書士は、官公署への許認可申請のエキスパート であり、建設業、産廃業、会社設立、飲食店、風俗営業、在留資格、農地転用など、膨大な種類の行政手続きを業務として扱うことができます。
このうち、「許認可申請(許可・認可・届出・登録など)」は、多種多様な業種・行為にわたるため、対応可能な許認可の種類は 1万件以上/数百〜数千種 と言われることもあります。THG Japan+2行政書士たかはし法務事務所+2
📄 主な許認可の種類(50種以上の具体例)
以下は、行政書士が実務で扱う頻度の高い主要な許認可・届出の一覧です。分野ごとに整理しています。
| 分野 | 許認可・届出の例 |
|---|---|
| 建設・不動産/土木 | 建設業許可(新規・更新・業種追加)、入札参加資格申請、経営事項審査申請、解体工事業登録、測量業者許可、建築事務所登録、宅地建物取引業免許(宅建業免許)、既存宅地確認申請、宅地造成許可、道路占有許可、工作物確認申請、公共上下水道設備指定事業者申請、開発行為許可、砂利採取許可(河川)、河川使用許可、屋外広告物許可、浄化槽工事業登録など 行政書士スタンダード+3南大阪行政書士会+3国松司法書士法人〖国分寺駅南口2分〗+3 |
| 飲食・宿泊・サービス業 | 飲食店営業許可、深夜における酒類提供飲食店営業開始届、風俗営業許可、旅館業許可、喫茶店営業許可、民泊関連届出、食品製造許可、食品販売店許可、酒類販売業免許、理容所/美容所/施術所などの開設届出、医療施設開設届(クリニック・施術所など)、薬局開設許可など 行政書士スタンダード+3南大阪行政書士会+3大阪行政書士会+3 |
| リサイクル・小売・中古品取引 | 古物商許可(中古品・リサイクル品の売買など)、質屋営業許可、小売販売の許認可など 大阪行政書士会+2Y-行政+2 |
| 運送・倉庫・物流 | 一般貨物自動車運送事業許可、貨物軽自動車運送事業届出、倉庫業許可、貨物利用運送事業 許可、運送事業関連手続き、自動車登録・名義変更・廃車手続き、車庫証明、自動車運転代行業認定など CREX | CREXコーポレートサイト+2国松司法書士法人〖国分寺駅南口2分〗+2 |
| 産業廃棄物・環境・福祉・その他 | 産業廃棄物収集運搬業許可、廃棄物処理許可、環境関連の届出(騒音・振動・大気汚染・水質汚濁など公害防止法関係)、福祉事業(訪問介護、介護事業、保育所認可など)、墓地の新設・移転・廃止など墓地関係申請、公園・自然公園区域等での行為許可(国立公園、風致地区など)、郵便関連(第3種郵便認可申請・簡易郵便局設立認可)、有線電気通信事業など登録/許可申請、プリペイドカード登録、営業譲受認可など 南大阪行政書士会+2大阪府行政書士会 北支部+2 |
| 会社・法人設立・事業形態 | 株式会社・合同会社など会社設立手続き、NPO法人・一般社団法人などの設立・定款作成、法人の組織変更、役員変更、増資など許認可・届出関連手続き、各種法人に関する認可申請(医療法人、社会福祉法人、学校法人など) 南大阪行政書士会+2大阪行政書士会+2 |
| 国際・出入国|在留資格関連 | 在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更、在留期間更新、永住許可申請、帰化申請、といった外国人の在留手続き関連(ただし、申請代行できる行政書士は登録が必要) 東近江市での遺言書作成・相続登記・会社設立の手続き+2ジェトロ+2 |

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