「民法等の一部を改正する法律」という表現は、日本で民法を中心に複数の関連法をまとめて改正する際に使われる法律名の総称です。
実際には毎年のように様々な改正が行われており、どの改正を指しているかによって内容が大きく異なります。
たとえば、近年の代表的な「民法等の一部を改正する法律」には次のようなものがあります:
- 債権法改正(2017年):契約ルール、時効制度などの大改正
- 相続法改正(2018年):配偶者居住権の新設など
- 成年年齢引下げ改正(2018年):成年年齢を18歳へ変更
- デジタル化関連改正(2021–2023年頃):押印見直し・書面要件緩和など
最近および今後、民法(および関連法)の「改正の見通し/議論中のテーマ」は、以下のような流れになっています。2025年末現在で確認できる主な動きと課題を整理します。
✅ 直近で成立・施行予定の改正
・民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)
- 2024年5月17日に成立。 法務省+2熊本県公式サイト+2
- 離婚後の「共同親権」を可能とする内容など、親権・養育費・親子交流・財産分与など子どもの養育に関するルールを見直すもの。 CFA Japan+2福岡市スエ町公式サイト+2
- 施行は原則として 令和8年(2026年)4月〜5月までに とされています。 熊本県公式サイト+2府中市公式サイト+2
- これにより、離婚後も両親が親権を持つ「共同親権」が認められるようになり、これまでの“単独親権”制中心の運用から大きな転換となります。 Discuss Japan+2CFA Japan+2
→ 要するに、子育て・離婚後の家族関係に関する民法のルールが、近々大きく変わる見込みです。
🔄 現在議論中・検討中の改正テーマ — 今後の注目ポイント
・成年後見制度の見直し
- 2025年6月、法務省の「民法(成年後見等関係)部会」が「中間試案」を公表。これは、現行の成年後見制度を見直すための第一歩。 リーガルエステート+2シルバー新報+2
- 検討されている主な論点には以下のようなものがあります:
- 「後見を開始したら本人の判断能力が回復しない限り終了できない」という現行ルールの見直し。必要性がなくなったと裁判所が判断すれば “後見終了” を可能にする案。 シルバー新報+1
- 後見人の交代をしやすくする(本人の状況変化に合わせて柔軟に対応)制度整備。 リーガルエステート+1
- 本人の意思や尊厳をより重視する「意思決定支援」重視の方向 — 代理意思決定だけでなく、支援を通じて本人の自己決定を尊重する流れ。国際的な障害者権利条約の観点も影響。 公益社団法人 成年後見センター・リーガルサポート+2わとなー行政書士法人+2
- 現時点では “検討中” ですが、2026年の通常国会への改正案提出が目標とされており、成立すれば近いうちに制度の枠組みが変わる可能性があります。 わとなー行政書士法人+1
→ 高齢化の進展や障害のある人の権利保障の観点から、成年後見制度の大きな見直しが近く起こる見込みです。
📌 背景にある社会的な変化と改正の方向性
こうした改正の背景には、以下のような社会・政策的な変化が影響しています:
- 離婚後も両親が関与する育児を望むニーズの増加、子どもの福祉・安定を重視する意識の高まり。
- 高齢化・認知症の増加、判断能力が不十分になる人の増大。これに伴い成年後見の需要が高まる一方、現行制度の硬直性や使いづらさが社会問題に。
- 国際的な人権理念(たとえば国連障害者権利条約)の影響 — 障害のある人の「自己決定権」を尊重する制度づくりへの転換。
これらを踏まえて、今後の民法改正では「家族法(親子・離婚関係)」と「権利擁護/成年後見関係」が大きな柱になると見られています。
⚠️ ただし「まだ法案段階」のものも多く、最終の内容・施行日は確定ではない
- 成年後見制度見直し案は「中間試案」や意見募集段階であり、今後さらに議論や修正が入る可能性があります。 リーガルエステート+2公益社団法人 成年後見センター・リーガルサポート+2
- 共同親権の改正については、成立済みですが、施行は2026年予定。実務運用の細かい点(手続き・裁判所判断の基準など)は、これから詳細が定められていく流れです。
💡 私の見立て:今後注目すべきポイント
- 離婚・再婚、子育てといった「家族の形の多様化」を速やかに制度がフォローするかどうか — 特に共同親権の実務運用がどうなるか。
- 判断能力が不十分な人への支援・保護と「本人の意思尊重」とのバランスの取り方。成年後見制度の改正内容が社会実態や国際的な人権潮流に合致するか。
- 高齢化・少子化の進行に伴う法制度の再設計 — 民法が日本社会の変化をどこまで反映するか。

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