健康保険における「入院時食事療養標準負担額(入院中の食事代)」は、近年の食材費や光熱水費の高騰を受け、2024年(令和6年)6月と2025年(令和7年)4月の2段階で引き上げが行われます。
以下に改正内容を分かりやすくまとめました。
1. 改正スケジュールと負担額(1食あたり)
一般区分の方の場合、1年以内に合計50円の引き上げとなります。
| 所得区分 | 2024年5月まで | 2024年6月〜 | 2025年4月〜 |
| 一般(課税世帯) | 460円 | 490円 | 510円 |
| 指定難病・小児慢性特定疾病 | 260円 | 280円 | 300円 |
| 住民税非課税世帯(区分II) | 210円 | 230円 | 240円 |
| (同上)長期入院※1 | 160円 | 180円 | 190円 |
| 住民税非課税世帯(区分I)※2 | 100円 | 110円 | 110円(据置) |
※1 長期入院:過去12カ月の入院日数が90日を超える場合。 ※2 区分I:世帯全員が住民税非課税で、一定の所得基準(年金収入80万円以下など)を満たす方。2025年4月改正では、特に配慮が必要な層として据え置かれます。
2. なぜ改正されるのか?
今回の改正は、主に以下の理由によるものです。
- 物価高騰への対応: 食材費や調理にかかる光熱費・人件費が上昇しており、医療機関の給食運営を維持するために「食事療養費(総額)」が引き上げられました。
- 負担の適正化: 在宅で生活する方との公平性を保つため、入院中の食費についても社会情勢に合わせた見直しが行われました。
3. 注意点
- 高額療養費の対象外: 入院中の食事代は、医療費の自己負担限度額(高額療養費制度)の対象には含まれません。全額が自己負担額として積み上がります。
- 限度額適用認定証: 非課税世帯の軽減(240円や110円など)を受けるには、マイナ保険証を利用するか、事前に「限度額適用・標準負担額減額認定証」を提示する必要があります。
4. 詳細の確認(厚生労働省HP)
具体的な通知や算定基準の詳細は、厚生労働省の以下のページで公開されています。
- 厚生労働省:令和6年度診療報酬改定について
- 「入院時の食費・光熱水費について」というPDF資料に、負担額の変遷や計算根拠がまとめられています。
関連する主な法令および告示
入院時の食事代(食事療養標準負担額)の改正に関連する主な法令および告示は以下の通りです。
健康保険法そのものが改正されるのではなく、厚生労働大臣が定める**「告示」**を改正することで、具体的な金額が改定されます。
1. 根拠となる主要法令
食事代の自己負担額(標準負担額)の根拠となっているのは、以下の法律です。
- 健康保険法 第85条第2項
- この条文に基づき、厚生労働大臣が「療養の給食に要する費用の平均的な額」を勘案して標準負担額を定めます。
2. 2024年(令和6年)・2025年(令和7年)改正時の告示名
今回の値上げを決定した具体的な告示(ルール)の名前は以下の通りです。
① 2024年(令和6年)6月改正時
健康保険法第八十五条第二項の規定に基づき厚生労働大臣が定める標準負担額(平成18年厚生労働省告示第99号)の一部を改正する告示 (令和6年3月5日 厚生労働省告示第59号)
- この改正により、1食あたり30円の引き上げ(460円→490円)が実施されました。
② 2025年(令和7年)4月改正時
健康保険法第八十五条第二項の規定に基づき厚生労働大臣が定める標準負担額の一部を改正する告示 (令和7年告示予定 ※令和7年度診療報酬改定に関連)
- 2025年4月からの「1食あたり20円引き上げ(490円→510円)」については、現在、令和7年度診療報酬改定の答申等に基づき、同様の告示改正が行われることになっています。
3. その他の関連告示
健康保険だけでなく、対象者によって以下の告示もあわせて改正されています。
- 生活療養標準負担額の改正: 65歳以上の方が療養病床に入院した場合の食費・居住費(健康保険法第85条の2第2項に基づく告示)。
- 後期高齢者医療制度: 高齢者の医療の確保に関する法律に基づき、同様の告示改正が行われています。
これらの告示の内容(具体的な官報の情報など)について、さらに詳しくお調べしますか?
ご自身やご家族の区分について、より詳細な条件(70歳以上の場合や療養病床の場合など)を確認されたい場合は、さらに詳しくお調べすることも可能です。

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