労災保険法の最後の大きな壁、**「特別加入」**について解説します。
本来、労災保険は「労働者」を保護するための制度ですが、労働者以外の人(事業主など)でも、**「業務の実態が労働者に近い」あるいは「労働者と一緒に働いている」**場合に、特別に任意加入を認めるのがこの制度です。
試験では、**「誰が」「どんな条件で」「いつから補償されるか」**が問われます。
1. 特別加入の3つのグループ
大きく分けて3つの区分があります。これらを混同しないように整理しましょう。
| 区分 | 対象者のイメージ | 加入の単位 |
| 第1種 (中小事業主等) | 小規模な会社の社長、役員 | 団体(労働保険事務組合)に委託が必要 |
| 第2種 (一人親方等) | 大工、タクシー運転手、ITフリーランス等 | 団体を通じて加入 |
| 第3種 (海外派遣者) | 日本から海外の事業所に派遣される人 | 派遣元の事業主を通じて加入 |
2. 第1種:中小事業主等のポイント
- 人数制限(超重要!): 業種によって異なります。
- 金融・保険・不動産・小売:50人以下
- サービス・卸売:100人以下
- その他(製造・建設など):300人以下
- 条件: 労働者を「1人でも」雇用していること。また、労働保険事務組合に事務を委託しなければなりません。
3. 第2種:一人親方等のポイント
労働者を使用せずに、特定の事業を行う人たちです。
- 対象職種の拡大: 近年、**「Uber Eatsなどの配達員」「ITフリーランス」「芸能従事者」「柔道整復師」**などが次々と追加されています。最新の改正事項として狙われやすいポイントです。
- 特定作業従事者: 介護従事者や、特定の危険有害作業を行う人もここに含まれます。
4. 試験に出る「給付・運用」のひっかけ
特別加入者には、通常の労働者とは異なるルールがいくつかあります。
- 給付基礎日額の決め方:平均賃金ではなく、加入者が自分の収入に合わせて**「3,500円〜25,000円」の範囲(16段階)**から選択し、労働局長が決定します。
- 支給されない給付:**「二次健康診断等給付」**は、特別加入者には支給されません。(これは労働安全衛生法上の定期健診が前提のため)
- 通勤災害の適用:原則として全員に適用されますが、第2種(一人親方)の一部など、住居と就業場所が境界を接している場合などは制限されることがあります。
5. 手続きの「効力発生」タイミング
ここは社労士試験特有の細かい知識です。
- 新規加入: 政府が承認した**「翌日」**から効力発生。
- 脱退: 政府が承認した**「翌日」**に効力消滅。※「申請した日」ではないのがポイントです。
労災保険法の総仕上げ
ここまで学んできた「業務災害・通勤災害」「給付基礎日額」「各給付の内容」「特別加入」が繋がれば、労災保険法は合格レベルです。
最後に、これらに関連する**「労働保険徴収法(保険料の計算など)」へ進みますか?
それとも、労災保険の中で「ここがまだスッキリしない」**という部分はありますか?

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