「失権(権利が消える)」と「支給停止(権利はあるが支払われない)」の区別は、社労士試験の得点源です。特に遺族年金は、他の公的給付との**「併給調整」**が非常に複雑なため、整理して覚える必要があります。
主な支給停止のパターンを3つのグループで解説します。
1. 所在不明による支給停止(家族間の調整)
受給権者が複数いる場合、一人がいなくなると残された家族の受給額に影響するため、以下のようなルールがあります。
| ケース | 内容 |
| 1年以上の所在不明 | 受給権者の所在が1年以上不明な場合、他の受給権者(次順位者など)の申請により、その間の支給が停止されます。 |
| 配偶者の所在不明 | 配偶者の所在が不明な場合、子の申請により配偶者の分を停止し、子に年金を全額支給します。 |
2. 他の公的給付との調整(二階建てのルール)
同じ「死亡」を原因として他の給付が出る場合、二重取りを防ぐために停止がかかります。
① 労災保険(遺族補償年金)との調整
労災事故で亡くなった場合、労災からも年金が出ます。このとき**「年金側」は全額支給され、「労災側」が減額(約73%〜88%にカット)**されます。
- 試験対策: 「年金が止まるのではなく、労災が削られる」と覚えましょう。
② 労働基準法(遺族補償)との調整
労災保険ではなく、会社から直接「遺族補償(一時金)」を受ける場合、遺族厚生年金は6年間支給停止となります。
3. 遺族厚生年金特有の支給停止(重要!)
厚年法には、制度の趣旨からくる独自の停止ルールがあります。
| 停止事由 | 内容 |
| 自己の老齢厚生年金 | 65歳以上で自分の「老齢厚生年金」がある場合、自分の老齢厚年を優先して受け取り、遺族厚年はその差額分(上回る分)のみ支給されます。 |
| 雇用保険(基本手当) | 65歳未満の遺族厚生年金(※あまり一般的ではありませんが)と失業保険は、原則として調整はありません。※老齢年金とはルールが違うので注意! |
| 再婚後の「連れ子」 | 配偶者が再婚し、子がその再婚相手と生計を同じくする場合、子の遺族基礎年金は停止されますが、遺族厚生年金にはこの停止規定はありません。 |
💡 【比較】失権 vs 支給停止の判別チャート
試験で迷ったら、以下の基準で考えてみてください。
- 「その身分が一生戻らないか?」
- 結婚した、他人の養子になった → 失権(戻らない)
- 「状況が変われば、またもらえる可能性があるか?」
- どこかに消えた、他からお金が出ている → 支給停止(状況次第で再開)
【次のステップ】
これで遺族年金の基本構造はかなり網羅できました。
次は、年金2法の「最後の難所」と言われる**「併給の調整(一人一年金の原則と例外)」に進みますか?それとも、少し趣向を変えて「障害年金」**の要件に切り替えますか?
→「障害年金」の要件

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