社会保険労務士試験の労災保険法において、「転給」と「未支給の保険給付」は混同しやすい超重要ポイントです。これらを攻略するには、**「誰が、いつの時点で、何をもらうのか」**という視点で整理するのがコツです。
1. 転給と未支給の決定的な違い
まずは、この2つの制度が「何のためにあるのか」を明確に分けましょう。
| 項目 | 転給(てんきゅう) | 未支給の保険給付 |
| 対象 | 遺族(補償)年金のみ | すべての給付(年金・一時金など) |
| 状況 | 受給権者が**「失権」**(死亡・再婚など)した | 受給権者が**「請求せず(または受け取らず)に死亡」**した |
| 目的 | 次の順位の人にバトンタッチする | 亡くなった人がもらうはずだった**「残り」を清算**する |
| 判定時期 | 転給時(前の人がいなくなった時) | 被災労働者の死亡時(※例外あり) |
2. 「転給」の攻略ポイント
転給は、遺族(補償)年金の受給権者が「死亡」「婚姻」「欠格」などで権利を失った際、「受給資格者」の中にまだ別の人がいれば、その人に権利が移る制度です。
- 重要ルール: 転給は「受給資格者」の間で行われます。受給資格者は、被災労働者の死亡時に決定しており、後から増えることはありません。
- 順位の覚え方: 原則として「配偶者>子>父母>孫>祖父母>兄弟姉妹」の順です。
- ただし、妻以外の遺族には「55歳以上(支給は60歳から)」や「18歳年度末まで」などの年齢・障害要件があることに注意してください。
3. 「未支給の保険給付」の攻略ポイント
こちらは、本来もらえるはずだったお金をまだ受け取っていない状態で本人が亡くなった場合、遺族が**「自分の名で」**請求するものです。
- 請求できる遺族の範囲と順位:
- 配偶者
- 子
- 父母
- 孫
- 祖父母
- 兄弟姉妹
- ここが試験に出る!:
- 生計維持(または生計同一)が要件となります。
- 遺族補償年金の未支給分については、「転給」とセットで出題されます。
- 例:転給によって新しく受給権者になった人が、前の受給権者の未支給分を請求する、といったパターンです。
4. 試験対策:ひっかけパターン
- 「転給は一時金でも行われる」→ ×(年金のみです)
- 「未支給の給付は、亡くなった人の相続人が相続する」→ ×(相続ではなく、法に定められた遺族が「自己の名」で請求します。したがって相続放棄をしていても受け取れます)
- 「未支給の順位に生計維持は関係ない」→ ×(労災法では「生計を同じくしていた」ことが要件です)
学習のアドバイス
「転給」はバトンのリレー、「未支給」は食べ残しの整理とイメージすると分かりやすいですよ。特に、年金の受給権者が亡くなった場合、「未支給の請求」と「(次の順位者への)転給」が同時に発生することが多いため、問題文をよく読んで「どちらの権利について問われているか」を判別できるようにしましょう。
次は、**「遺族(補償)年金と一時金の受給権者の順位の違い」**について詳しくまとめましょうか?それとも別の科目をご希望ですか?

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