女性活躍推進法(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)は、2025年6月の法改正を経て、2026年4月より新たな義務化や制度の拡充が段階的に施行されます。
今回の改正の主要なポイントは、**「情報の見える化の強化」と「健康課題へのサポート」**です。
1. 2026年4月施行:情報公表義務の対象拡大
これまで主に301人以上の大企業に課されていた厳しい公表義務が、101人以上の企業にも拡大されます。
- 男女の賃金差異の公表義務化: 常時雇用する労働者が101人以上の企業に対し、男性の賃金に対する女性の賃金の割合(%)の公表が義務付けられます。
- 女性管理職比率の公表義務化: 同じく101人以上の企業で、管理職に占める女性の割合の公表が必須となります。
- 背景: 「なぜ差があるのか」という理由の説明も求められるようになり、企業には実質的な格差是正の取り組みが期待されています。
2. 女性特有の健康課題への対応(新設)
今回の改正では、キャリア継続を阻む要因として「健康」に焦点が当てられました。
- 月経・更年期・不妊治療への支援: 月経や更年期、不妊治療など、女性特有の健康課題を抱えながら働く人を支援するための体制整備が求められます。
- 「えるぼしプラス」等の新設: これらの健康支援に積極的に取り組む企業を評価する新たな認定制度や、基準の緩和(えるぼし認定の受けやすさ向上)が検討されています。
3. ハラスメント対策の強化
改正労働施策総合推進法などと合わせ、女性活躍を阻害する以下の対策も強化されます。
- カスタマーハラスメント(カスハラ)対策: 顧客からの著しい迷惑行為を防止するための措置が義務化されます。
- 就活セクハラ対策: 就職活動中の学生やインターン生に対するセクシュアルハラスメント防止措置も、企業の義務として明確化されます。
改正のスケジュールまとめ
| 項目 | 内容 | 対象企業 | 施行時期(予定) |
| 情報の公表 | 男女間賃金差異・女性管理職比率 | 101人以上 | 2026年4月1日 |
| 健康課題支援 | 月経・更年期・不妊治療支援 | 全企業 | 2026年4月〜 |
| カスハラ対策 | 雇用管理上の措置義務 | 全企業 | 公布から1年6か月以内 |
| 有効期限延長 | 法律の期限を2036年3月末まで延長 | – | 2025年6月公布 |
[!NOTE] 100人以下の企業については、引き続き「努力義務」の範囲が多いですが、人材確保の観点から情報の公表や環境整備を行う企業が増えています。
今回の改正に伴い、自社でどのようなデータ準備や制度設計が必要か、より具体的なシミュレーションやチェックリストを作成することも可能です。
従業員規模に合わせた具体的な準備すべきアクションプラン
改正法への対応をスムーズに進めるための**「従業員規模別・アクションプラン」**をまとめました。
法改正の施行は2026年4月からですが、公表するデータは「前年度の実績」になるため、2025年度中(今から)の準備が非常に重要です。
1. 従業員 101人〜300人の企業(義務化対象に)
これまで「努力義務」だった情報の公表が、2026年4月から義務化されます。
- Step 1:データの現状把握(2025年内)
- 男女の賃金差異(全労働者・正社員・非正規社員)を計算してみる。
- 女性管理職比率を算出する。
- Step 2:差異の「理由」を分析する
- 単に「差がある」と公表するだけでなく、「勤続年数の差」「残業時間の差」「職種の違い」など、背景を分析しておかないと、採用力や企業の評価に影響します。
- Step 3:行動計画の策定・届出(2026年3月まで)
- 分析結果に基づき、具体的な目標(例:女性管理職を〇%に増やす)を設定し、労働局へ届け出ます。
2. 従業員 301人以上の企業(公表項目が追加に)
すでに公表義務はありますが、さらに項目が厳格化されます。
- Step 1:公表項目の見直し
- 「男女の賃金差異」と「女性管理職比率」の2項目は必須となります。
- Step 2:健康課題サポートの仕組みづくり
- 更年期障害や不妊治療に対する休暇制度、または柔軟な勤務形態(テレワーク等)の導入を検討します。
- Step 3:社内周知と風土醸成
- 制度があっても「使いにくい」雰囲気では評価されません。管理職向けに女性の健康課題に関する研修を実施することをお勧めします。
3. 全企業共通(健康課題・ハラスメント対策)
| アクション | 内容 |
| 就業規則の改定 | カスハラ防止規定や、不妊治療・更年期休暇などの追加。 |
| 相談窓口の整備 | ハラスメントや健康相談ができる窓口を設置し、周知する。 |
| えるぼし認定の検討 | 対策が進んでいる場合、「えるぼし」認定を取得して、公共調達や採用での優遇を受ける。 |
今すぐ取り掛かるべき「3つのチェック」
まずは、以下のデータがすぐに出せる状態か、人事・労務担当の方と確認することをお勧めします。
- 直近1年間の「男女別の平均年間賃金」(手当・賞与含む)
- 管理職(課長級以上)の男女比率
- 不妊治療や更年期に関連した欠勤・離職の有無(ヒアリング)
具体的に、「男女の賃金差異」の計算方法(どのような手当を除外して良いかなど)や、「行動計画」の具体的な書き方の例について、詳しくお伝えしましょうか?
女性活躍推進法特集ページ(えるぼし認定・プラチナえるぼし認定)
女性活躍推進法特集ページについて紹介しています。

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